多くの絵師さんの肌塗りレベルを上げた本!として有名らしい「mignonが教える肌塗り秘訣」。肌塗りがうまい人にこの本を教えてもらってから、ずっと肌塗りするときはこの本を片手に描いてます。すごく複雑なレイヤー構成なのかなと思ったらすごくシンプルなんですが、作業の工程やコツを覚えてしまえば、それなりの肌塗りにすることはできます。あと、この本はPhotoshopで塗られてるのでクリスタでは応用できないと言われますが、レイヤーは増えますがクリスタでも使えるし、こういう本は学んだこととその応用が大切だと思います。その辺りも含めて、今回はこの本のレビューを書いていきたいと思います。
色を間違えないマスク塗り
この本の塗りの特徴はマスク塗りです。レイヤ全体を単色で塗りつぶしてマスク。そのマスクにペンや筆で描きこむ(マスクをとっていく)ことで、レイヤーを確実に同じ色で塗ることができます。最初やった時はうまくいくのかなと思ったのですが、普通に塗っているようにタッチも表現できるし、何より色を間違えません。これを1影、2影などそれぞれの色で作っておくことで、色を間違えずに肌を丁寧に塗っていくことができます。
体の立体感表現の基礎が身につく
1影で全体の影を描き、2影で落ちかげ、3影でより濃い影を描くというのは他の本なので見る描き方と同じなのですが、人間の丸みを感じる部分や周り混みがある部分に陰をつけていくのがすごくキレイです。これだけで線画やポーズがシンプルでも、奥行きのあるイラストになるんですよね。この描き方を学べたのは大きな収穫でした。
体の凹凸、肉感表現が学べる
次に役立ったのが体の凹凸や筋肉、脂肪、骨を意識した塗り表現です。微妙な凹凸を影で塗り分けたり、筋肉の分かれ目やラウンドしている部分をぼかしで表現したり。体の表情をどうやってリアルに美しく塗るかという方法が書かれています。背中、脇、腕など部位に分けて塗りのポイントが書かれているものよかったです。筋肉や脂肪を意識した塗りになりますので、人体の構造をしっかり把握しておく必要があり、その知識がある上でこの本を読むとより美しい肌表現ができるようになると思います。
ぼかす影とぼかさない影を使い分けられる
mignonさんの塗りは全体的なグラデーションが美しいのですが、そのポイントは使っている筆等ではなく、ぼかし表現の技術だと思いました。特に影や光を筆で塗った時に、光源に対してどちらをぼかして、どちらをくっきりとした影に残すのかを法則で示してもらえたのは大きかったです。またぼかし方も単純なぼかし表現だけでなく、指先ツールを利用したのばしも使っているので、塗りだけを意識せず、そこからどう処理していくかを学べたことは大きかったです
透明感を出す、色選びと光の表現
影というとどうしても黒が入った色を選んで濁りがちに初心者のうちはなるのですが、そういったことに陥らないように、光の表現や色選びの方法が書かれています。個人的に役立ったのは影に青味を足すことと、ハイライトの境界線表現です。この2つができるようになってから、肌の透明感がアップしました。
髪の塗りもある
実は髪の毛の塗りに関するページもこの本にはあります。Mignonさんの髪塗りはあっさりしているで同じ塗り方はしていないのですが、シンプルな塗りで髪の毛の艶や毛束感を表現しているので、興味のある方はこの部分も参考になると思います。
Clip Studioでの応用法
この本はPhotoshopでの塗りですが、私はClip Studioで塗っています。この本の技術を使って描ける部分もあるのですが、難しい部分もありますので、自分なりに工夫したことを書いていきたいと思います。
塗り色を変える
お手本で色が示されているのですが、それで塗ると自分の塗り方ではかなり濃くなってしまったので、色相を変えず、塗り色を明るい色に変えたり、キャラや状況によって変えています。特にぼかしツールや筆の仕組みによるところが多いのかと思いますが、ここはアレンジしました。
ぼかしツールを工夫する
ぼかしでよく使う、ぼかしと指先ツールなのですが、特に指先ツールの方はかなり色伸びする印象があります。私は強弱で対応していますが、筆圧の高い方はツール自体を調整したほうがいいと思います。この肌塗りはぼかしが命なので、使いやすいようにツールを工夫してください。
境界線だけ変える筆がない
Mignonさんの筆は一部境界線だけ色を変えるPhotoshopならではの筆を使っています。その対処法もこの本では書かれていますが、そちらを使うよりも、境界線で使う色を取り出して、別レイヤーで描きこむことで対処しました。特にハイライトの周辺部に黄色を入れたりするのがメインですが、クリスタだとレイヤー効果でも同じようなものがあります。色々試して自分好みの方法を見つけてください。
合わせて読みたいイラスト集「YUMMY TUMMY」
美しいボディラインや肌塗り、透明感のある女の子でいっぱいのイラスト集です。より影の強いイラストや逆光気味のもの、服と肌の塗りの違いがわかるものまでありますので、肌塗り本で技術を学び、イラスト集で応用力を養うことができるのでおすすめです。あとちょっとHな絵もあるし、胸の大きいものやヌードもあるので、人体の描き方や塗りの参考になります。
肌塗りを極めたい方におすすめ!
アニメ塗りから卒業したい。もっと色気のある肌を描きたいという方にはおすすめの本です。骨の位置や筋肉だけでなく、脂肪がどのような場所につくのかも考えて塗っていく必要があるので、美術解剖学プラスαの知識があると、より美しく塗ることができます。最近、Nignonさんのツイッターを見ると最近は違う塗りにも挑戦されているようですが、この塗りが現在の肌塗りのベースになってると思いますので、見ておいた方がいいと思います。
ぜひ肌塗りを極めたい方はお読みください。