素体の段階では立体感があるイラストを描けるのに、服を着せると急に立体感がなくなることってありませんか?私がそういう時に出会った本が今回ご紹介する「服のシワと影の描き方」です。服の立体感は、シワと影の描き方で大きく変わります。その部分を集中的に取り扱っている本ですごく役立ちました。
布や服の写真からイラスト化する
まず最初にあるのは布を使ったシワのでき方です。テンションがかかる場所と重力でどのようなシワができるかを紹介してくれています。布の厚さや柔軟性によってもシワのでき方が変わるが印象的で、実際の写真や服の一部を見せて、それと同じシワをイラスト化してるのがわかりやすかったです。どうしてもリアルな写真はシワが多くなりがちですが、どのポイントを掴めばイラストでも立体的に見えるのかが分かる実例がいっぱいです。
影の種類や描き方の基礎が学べる
落ち影や陰(シェイド)の基礎から始まり、光源を意識した影の付け方を学べます。こちらはシワに比べるとあっさりしていて、1影の付け方やアニメの影に近い、落影とシェイドの濃い部分をほぼアニメ塗り(多少ぼかしも使いますが)に近いです。最近のイラストで使う立体の回り込みに使うシェイドなどは省かれています。ただこの影さえ逃さなえれば服の立体感はつけられるというポイントに絞られているのがわかりやすいです。
写真資料から、いろんな服のシワ・影が学べる
この本は基礎はさらっとしていますが、実例が豊富!制服や私服、カジュアルからフォーマルなものまで、様々な服の影の付け方やポーズを学べます。特に優秀だと思うのは、①実写の写真②線画③影塗りと3つの段階に分かれて描かれていることです。服やシワ・影は写真資料を見ながら描くことが多いと思いますが、その時にどの線を取れば立体的に見えるのかということがあらゆる服でわかります。
ブラシ塗りはここから応用が必要
ブラシ塗りだと、ここから落ち影を2影で入れたり、体の立体感にそった回り込み表現の塗りをしたりしますが、この本ではそういったことは書かれていません。ただすべての影を一旦1影で描いてから2影を重ねる人が多いと思いますので、一番重要な1影部分をしっかり描けるようになるのでこの本は初心者向けだと思います。またブラシを使ったり変にぼかして影を描くと絵が汚くなってしまいます。そういった意味でもアニメ塗りで全体の影を把握して塗っていくこの本のやり方は初心者に向いていると思います。
シワと影が苦手な初心者におすすめ
線画とアニメ塗りでシワと影を特化して学べるので、なんとか人は描けるけど服の立体感をなんとかして出したいと考えている初心者の方におすすめの本です。特にアニメ塗りは他の塗りにも応用できるし、1影をしっかり描いていく基礎にもなります。ぜひ、服が苦手だなって思っている方は、ぜひ読んでください。