よく人体を描くときに美術解剖図をしっかり見た方がいいと言われたり、解説されている人が多いですよね。
とはいえ、筋肉とか骨とかリアルタッチなもので見ると、ちょっと気持ち悪いので、あんまり見たくないと思ってました。そんなときに出会ったのが「スカルプターのための美術界解剖図」です。筋肉や骨などカラダの中がわかりやすいのに、すごく見やすいし気持ち悪くない。
今日はこの本についてご紹介したいと思います。
CG女子高生のSayaを支えた一冊
3DCGでリアルな人間を作ろとするとなんか人形のような不気味な感じになりがちなんですが、そういう3DCGがリアルに近づこうとすると超えらない大きな隔たり現れていました。それが不気味の谷と呼ばれるものでした。
数年前、その不気味の谷を越えた3DCGで作ったSayaという女子高生が生まれて、大きな話題になったんですが、その制作過程で参考にされた本が、この本だそうです。
写真や3Dスキャンされたデータ、色分けされた図解で見やすい
全体的には、リアルな人の外観写真、それをスキャンした3Dデータ、色付けられた筋肉図解と骨のイラストで構成されています。
カラダの隅々まで様々な角度から分析していて、描くために必要な人体を徹底的に解説している本だと思います。
筋肉や骨が出てきても気持ち悪くない
美術解剖図だと赤色の筋肉とかグロテスクなイメージがありますが、この本にはそれがないです。
モデルの写真、3Dスキャンされたデータ、そこに当てはめられたカラフルに表現された筋肉、そして骨。色味にすごく気遣われているし、リアルさを排除しているわけではないですが、生身感というか気持ち悪さが排除されいていると思いました。
肉体構造の理解だけに集中して見ることができます。
表情や回内・回外のバリエーションが多い
人種、年齢、性別など様々な人の表情バリエーションの写真がありました。あんまりこういうの見たことがないので貴重な資料だなと思いました。
絵を描く上で役立ったのが前腕部分です。ここは2本の骨をクロスさせて回転させるところで、筋肉の表情がすごく変わるし、絵としての演技力がある部分でもあります。ここのバリエーションがすごく多いので、腕を描くときに迷いがなくなりました。
リアル系のイラストや筋肉を描く人に
二次元ぽいデフォルメキャラを描くのには必要十分すぎる気がしますが、しっかりと勉強したい人にはすごくいい本だと思います。何よりも気持ち悪くないのがいいです。
リアル寄りのキャラや筋肉を描きたい人は、ぜひ一度読んでみてください。