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シルエットではなく動きを描くための本「たてなか流クイックスケッチ」レビュー

イラストを描くときに素早く素体やポーズを描けるようになりたいですよね。
イラストを真剣に描き始めようと思ってXを始めたときに、色々と素早く素体を描く練習を毎日上げてたんですが、そのときにフォロワーさんにご紹介いただいたのが「たてなが流クイックスケッチ」です。
有名な人体ドローイングの本がありますが、それらの知識を入れつつ、より素早く、より簡単に描けるようになる方法でした。今日はこの本いついてご紹介したいと思います。


アニメーターさんのスピードの秘密

著者はアニメーターの立中さんで、動画を描くアニメーターさんならではの超高速描き方が書かれていると思いました。
有名なドローイング本やスケッチ本の基礎知識の上に、さらに動きを捉えて描く方法を見つけて本にしたという感じです。キレイに素体を描ける方法ではないですけど、マスターすると躍動感ある人物素体やラフを描くことができます。

動きをシンプルな線と図形で捉える

ポイントはシンプルな図形とラインで、どういう動きなのかを捉えることです。
胸郭や骨盤をD型でシルエットをとらえた上で、ラッピングラインやセンターラインを引くことで立体に見せていったり、手足を骨のまっすぐなラインで捉えるのではなく、湾曲したラインの組み合わせであたりを描くことで、動きが見えるようになります。
スポーツ選手の写真とか見ると、腕や足などは「しなる」ので、骨を意識した直線だけでは描けない動きのあるイラストになります。筋肉のしなりをとらえていく感じの描き方です。
さらにそこから肉付けやラッピングラインを補強していくだけで、ある程度の素体が描けてしまうのがすごいと思いました。

シルエットよりフローを意識する

上で書いたしなりを意識したようなラインの描き方もそうなんですが、全体として、「運動エネルギー」の流れを意識した描き方だと思いました。
素体を描く前に運動エネルギーの方向性を描くアクションラインを引くんですが、これが動きを意識する上で重要だと思いました。コントラポストを意識してとかいうイラスト講座ありますが、あれはいろんな運動エネルギーが相殺されて、重力方向に向いて、重心が安定する描き方なんだと思います。
けれど、動くときは動きたい方向に運動エネルギーが向かわないとダメなので、重心が安定しているとおかしくなるんですよね。だからその動く方向性を意識して、カラダを描いていくことが大切なんだと思いました。

頭身や全体のバランスを取る力は必要

とはいえ、頭身の感覚、全体のバランスをとる力は必要だと思います。これがないと、いくら動きのある体が描けても、胴長になったり、顔が大きすぎたりして人物の絵として成立しません。
ここは理論や感覚で身につけていく方がいいと思いました。
また肉付けしていくときに、線の優先度をしっかり把握しておくことが大切かなと思いました。例えば、関節を曲げたときに関節の内側で肉が重なると思うんですが、上腕と前腕どちらの肉を優先してラインを引くのかとか、実際の筋肉のつぶれなどを頭に入れておかないと、キレイな素体にはならないと思います。
基礎知識あっての高速描きだと思いました。

素早く人物の動きを描ける本

この描き方をマスターすれば素早く素体を描くことができるので、練習で毎日素体を描く際に使っています。
ただ実際のイラストでは、ベースをこの方法で描きつつ、いろんな方法で素体をもっと丁寧な方向で描くことが多いです。
体を四角で捉える、まるで捉える、いろんな素体の描き方がありますが、どれかひとつに頼らず、いろんな描き方を使って行った方がいいんだと最近思うようになりました。何を描きたいかで、描きやすい方法が変わるんだと思うんです。
この本の描き方は動きを意識した方法ですごく勉強になりました。
なんか動きが硬い絵になりがちだなという方は、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。


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